ジュジュマル

 章を進めるごとに、真実が解き明かされていく。 

 瑠奈が語る記憶は真実なのか…… 

 アナタが信じるのは誰の話? 


 第一章 瑠奈の記憶 より 

 ランドセルの奥底にこびり付いたご飯粒を、帰り道の公園のベンチで一つ一つ取っている。もう涙も出ない。誰にも相談しない。心も傷まない。遥香というクラスの「女王」に、されるがままでいる方が楽だ。今日は、ランドセルに残飯を押し込まれていた。 

  ――誰の記憶が本当に正しいのか?  

 瑠奈の記憶と第三者の記憶、その歪みは交わることはない。 

 執拗で陰湿な「遊び」に耐える少女の心の支えである、飼い犬ジュジュマル……   

そして語られる全て、そして解き明かされる全て…… 

乱れた記憶と愛憎が、一本の記憶へと紡がれていく。 

黒桃短篇集 其の壱

 昭和浪漫のスコシばかり怪異なお話、アナタの脳髄へソット、注入サせて頂きます。

 心の臓のヨワい御方は、お引き返し下さい。

・異形の心臓

 ――夏が近づく、コンナ蒸し暑い夜はアイツを思い出す……とある出来事から、ニンゲンのエゴが浮き彫りになる……

・屍柘榴

 艶やかな熟れた柘榴を割ったのはダレだ……

・ ズット、一緒

 湧き出た興味に流されて、アトの祭……

・腐臭の神風

 アナタに逢いたい。他はナニモ要りませぬ。

・黄泉比良坂花魁道中

 呉服問屋の男。先日の花魁道中で見かけた、とある花魁の姿に見惚れて仕舞って、仕事が手に付かないでいたが――

・イチニの惨劇

 七五調で語られる小唄の内容は……

・前略御免下さい

 悲哀に満ちた母への手紙……

・蜜柑を一房

 一銭五厘の兵とは云えど、貴方を値踏みは 出来はせぬ

・咀嚼婦人

 其の口づけは誰の為に……