黒桃短篇集 其の弐 

昭和浪漫のスコシばかり怪異なお話其の弐、注入サせて頂きます。時空モノガタリ文学賞入賞作品を二作品、加筆して掲載。

・チノイロ 

アタシは只、ギャアギャアと泣いていた……

・本のムシ

 とある日、僕は想いついて仕舞った。ソレはソレは迚も心が踊ること……

・臭い井戸

 言われるがままに差し出された水を飲んだあとに、聞かされる……

・赤い傘と彼岸花

 幽霊の正体見たり枯れ尾花、疑心暗鬼を生ず

・飛べない鳥

 生きていくには辛すぎ、死んでいくのも辛く……

・お母さん大好き

 ホラ、坊や。あの言葉を云ってご覧……

・僕の恋心

 何故皆、揃って僕を悪人と云うのか……

・雀の痣

 死んで呉れたらドレダケ楽か、頭をヨギる事幾度。

・好奇心と最後のダンス

 海辺で見た踊りの正体とは……

・浮気症

 ブウウウウンと、換気扇が月が映る景色を刻んで。

・巻頭歌に踊らされ

 巻頭歌を知ってるか? と云う女の話とは……

ジュジュマル

 章を進めるごとに、真実が解き明かされていく。 

 瑠奈が語る記憶は真実なのか…… 

 アナタが信じるのは誰の話? 


 第一章 瑠奈の記憶 より 

 ランドセルの奥底にこびり付いたご飯粒を、帰り道の公園のベンチで一つ一つ取っている。もう涙も出ない。誰にも相談しない。心も傷まない。遥香というクラスの「女王」に、されるがままでいる方が楽だ。今日は、ランドセルに残飯を押し込まれていた。 

  ――誰の記憶が本当に正しいのか?  

 瑠奈の記憶と第三者の記憶、その歪みは交わることはない。 

 執拗で陰湿な「遊び」に耐える少女の心の支えである、飼い犬ジュジュマル……   

そして語られる全て、そして解き明かされる全て…… 

乱れた記憶と愛憎が、一本の記憶へと紡がれていく。 

黒桃短篇集 其の壱

 昭和浪漫のスコシばかり怪異なお話、アナタの脳髄へソット、注入サせて頂きます。

 心の臓のヨワい御方は、お引き返し下さい。

・異形の心臓

 ――夏が近づく、コンナ蒸し暑い夜はアイツを思い出す……とある出来事から、ニンゲンのエゴが浮き彫りになる……

・屍柘榴

 艶やかな熟れた柘榴を割ったのはダレだ……

・ ズット、一緒

 湧き出た興味に流されて、アトの祭……

・腐臭の神風

 アナタに逢いたい。他はナニモ要りませぬ。

・黄泉比良坂花魁道中

 呉服問屋の男。先日の花魁道中で見かけた、とある花魁の姿に見惚れて仕舞って、仕事が手に付かないでいたが――

・イチニの惨劇

 七五調で語られる小唄の内容は……

・前略御免下さい

 悲哀に満ちた母への手紙……

・蜜柑を一房

 一銭五厘の兵とは云えど、貴方を値踏みは 出来はせぬ

・咀嚼婦人

 其の口づけは誰の為に……